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「ホームズゆかりの地」案内:Westminster [ ┣「ゆかりの地」案内]

FSL: Westminster Underground Station (P44~46)

今回はウェストミンスター駅周辺のホームズゆかりの地を紹介します。ウェストミンスターはビッグベンやウェストミンスター寺院など、ロンドン観光の中心とも言える場所にありますので、周辺はいつでも観光客で一杯です。トラファルガースクエアから国会議事堂まではそれほど距離もありませんし、途中でダウニング街など見るところもありますので、地下鉄駅は使わず歩いて回るほうが多いかもしれませんね。

立法・行政の中心地だけ合って、この周辺が登場する事件は、ホームズの手がけた事件の中でも、政治色の強い事件が多くなっています。

1.The Admiralty, Whitehall, SW1

「グロリア・スコット号」

FSLの記載:The Old Admiralty Offices at Whitehall are where it was set down that the "Gloria Scott" was lost at sea. No word ever leaked, as to her true fate.

延原訳登場シーン:翌日われらはオーストラリア行き二檣帆船ホットスパー号に救助されたり。同船の船長は、われらを難破客船の船員なりと、容易に信じくれたり。海事部も護送船グロリア・スコット号は洋上にて行方不明となれるものと簡単に認定し、事実の真相はついに世に現わるることなくして終れり。

「ブルース・パティントン設計書」

FSLの記載:With the death of Arthur Cadogan West, and the missing Bruce-Partington Plans, the Admiralty was buzzing like an overturned beehive. Mycroft had never seen the Prime Minister so upset.

延原訳登場シーン:総理大臣がこんどのように慌てたのは見たことがない。海軍本部のほうは、そうさ、はちの巣でもつついたように騒いでいる。

「最後の挨拶」

FSLの記載:In His Last Bow, Baron Von Herling complained that The Admiralty had received an alarm on the Naval Signals he had accumulated, and had changed every code.

延原訳登場シーン:「しかしそこにはすでに、もうかなりの束の書類がはいっているじゃないか」

「こんなもの古くなって、今では紙屑にすぎない。どうしたわけか海軍省が警戒して、暗号をすっかり変えてしまったのだ。これは大打撃だったね。僕の活躍中でも最大のつまずきだった。でも小切手帳が物をいったのと、アルタモントのおかげで、今晩のうちにうまく収拾できることになった」

「プライオリ学校」

FSLの記載:In The Priory School, the Duke of Holdernesse had been Lord of the Admiralty, with offices at Whitehall.

延原訳登場シーン:住所はカールトン・ハウス・テラス。ハラムシャーのホールダーネス屋敷。ウェールズのバンゴア港カーストン城。一八七二年海軍大臣。国務大臣として……なるほど、これでは現陛下の重臣のひとりだ。

Admiraltyというのは、海軍省のことで建物はトラファルガー広場からバッキンガム宮殿に向かう道の入り口近くにあります。

今では外務省が入ってるんですね。確か軍は国防省にまとめられてエンバンクメントとホワイトホールの間くらいにオフィスがあったと思います。以前陸軍の軍医でアフガニスタンに行っていた友人(本当にそういう人がクラスメートにいて結構仲良しです)に教えてもらいました。

 Admiraltyの建物は北側から見ると建物が船のような形に見えます。

2.Downing Street, SW1

「海軍条約文書事件」

FSLの記載:In The Naval Treaty, Lord Holdhurst, uncle of Percy Phelps, had chambers in Downing Street. Holmes was able to find the missing treaty, and save the honor of poor Percy.

延原訳登場シーン:幸いにしてホルダースト卿はダウニング街の大臣室にいた。ホームズが名刺を通ずると、さっそく通された。卿はそれで有名になっている古風なていねいさで迎えた私たちを、暖炉の両がわにすえた贅沢な安楽いすに掛けさせた。そして自分は私たちのあいだの暖炉の正面に、すらりと背のたかい容姿に、鋭い考えぶかそうな顔で立っていた。

昔は中まで入れたそうですが、IRAの爆弾事件などの影響もあって、今ではこのように門で閉ざされています。

3. 10 Downing Street, SW1

「第二の汚点」

FSLの記載:In The Second Stain, it was from No.10 that Lord Bellinger, came to Baker Street to ask Sherlock's help in recovering a missing document of vital importance. The Right Honorable Trelawney Hope, Secretary for European Affairs, who had discovered the loss that very morning, addompanied the Prime Minister.

延原訳登場シーン:ある年とだけで、千八百何十年代の事とすらいえないけれど、その年の秋の火曜日の朝、べーカー街の私たちの粗末な部屋へ、ヨーロッパでも有名な人が二人づれで訪ねてきた。一人のほうの、鼻たかく眼光するどく、威圧的ないかめしい人は、二度まで大英帝国の総理大臣をつとめた高名のベリンジャー卿だった。もう一人の浅ぐろい顔の輪郭のととのった、上品な中年まえの、心身ともにきわめて美しく生まれついた人は、新進政治家の雄、ヨーロッパ省大臣のトリローニ・ホープ伯爵だった。

「マザリンの宝石」

FSLの記載:No.10 must have also been the place from which another Prime Minister, (or perhaps the same one), came to consult Holmes in The Mazarin Stone.

延原訳登場シーン:「ワトスン先生なら話してもかまいませんけれど、誰にもしゃべっちゃいけませんよ。あの王冠ダイヤの事件ですよ」

「えッ! あの十万ポンドの盗難事件かい?」

「そうなんです。ぜひとも取りもどさなきゃというので、総理大臣や内務大臣まで見えて、そのソファに坐ったんですよ。」

上と同じダウニング街ですが、10番は確かこの右手の奥の建物だったはずです。クリスマスツリーのようなものがあるところでしょうか。

4. Richmond (Whitehall) Terrace, SW1

「第二の汚点」

FSLの記載:In my opinion, this was the site of the townhouse occupied by the Right Honorable Trelawney Hope, Secretary of European Affairs, and his wife Lady Hilda. In The Second Stain, the Prime Minister left his busy schedule to come to Hope's house for lunch. The location had to be very close to No.10 Downing Street. Did they walk, or arrive by carriage?

延原訳登場シーン:きわめて重大なものですから、金庫におさめておく気にもなれず、毎日ホワイト・ホール・テラスの自宅へ持ちかえりまして、状箱に入れてかぎをかけ、寝室においていました。(中略)

ウエストミンスターのゴドルフィン街から、ヨーロッパ大臣の官邸のあるホワイト・ホール・テラスまでは、歩いて数分の距離しかない。(中略)

「きょうは総理と昼食をともにすることになっているのです。総理にもお話をきかせてあげてください。あの人は鉄の神経をもっていますけれど、こんどばかりは夜もほとんど眠れない様子です。ジェコブズ、総理にこちらへお通りねがってくれ。」

地図上ではこのあたりがRichmond Terraceですが、表札も見あたらず柵で囲まれているため中まで入ることはできませんでした。WheelerはここがWhite Terraceであると推測しています。確かに、ダウニング街とは道を挟んで反対ですし、忙しい首相が大臣官邸に昼食に来ることができたという理由も納得できるものかと思います。

5. House of Parliament, SW1

「マスグレーブ家の儀式」

FSLの記載:In The Musgrave Ritual, Reginald Musgrave visited Holmes at his room in Montague Street. Musgrave said that his father had died, and that in addition to now having to manage the estate, he was a Member of Parliament.

延原訳登場シーン:父の亡くなったことは、たぶんお聞きおよびでしょうが、ちょうど三年ばかりまえに、とうとう他界しました。それ以来ハールストンの領地は、自然僕が管理しなければならないわけで、地方のことにも顔出しをしなければならず、これでなかなか忙しくやっていますよ。

注:訳にはパーラメントのことは触れられていません。また原作でも「I am a member of for my district」となっています。不思議に思い、Klingerの注釈を調べてみたところ、このDistrictが西サセックス州のParliamentary Districtで、マスグレーブはこの地域を代表するParliament Member二人のうちの一人であることを指しているとの解説でした。

ウエストミンスター橋側からの国会議事堂です。

こちらはテムズ川の対岸からです。

FSLには載っていませんが「フランシス・カーファクス姫の失踪」では次のような記述でBig Benが登場しています。(みっちょんさま、情報ありがとうとうございました。)

「フランシス・カーファクス姫の失踪」

延原訳登場シーン:五分とたたないうちに、私たちは二輪馬車でベーカー街をとばしていた。そのくらいにしても、議事堂の大時計の下を通るときには八時までにあと二十五分しかなかった。ブリクストン街までいったら八時をうちだした。

6. King Charles Street, SW1

「海軍条約文書事件」

FSLの記載:In The Naval Treaty, Percy Phelps' office was in the Foreign Office in Whitehall. Whoever stole the treaty, entered and left the building through the side door in King Charles Street.

延原訳登場シーン:そこで私たちは廊下を駆けだし、チャールズ街へでる急な階段を駆けおりました。裏口は閉まっていましたけれど、かぎはかかっていません。それを押しあけて表へとびだしましたが、ちょうどそのとき近くの教会の鐘の音が三つ聞こえてきたのを、私ははっきり覚えています。十時十五分まえの鐘なのです。

こちらが通りの様子です。右側の建物が外務省になります。

反対側から見た外務省の様子です。左の建物です。

7. Little George Street, SW1

「緋色の研究」

FSLの記載:In A Study in Scarlet, Joseph Stangerson's body was discovered in Halliday's Private Hotel in Little George Street. Written above the body, in letter of blood, was written the word RACHE.

延原訳登場シーン:「秘書のジョゼフ・スタンガスン氏は」とレストレードは重々しく告げた。「けさ六時ごろ、ハリデイ特定ホテルで殺害されました」(中略)

昨夜はひと晩この調べに空費してしまいましたが、今朝は早くから残ったところをまわりはじめて、リトル・ジョージ街のハリデイ特定ホテルまで来たのが八時でした。スタンガスンという人がいるかとたずねてみますと、いるという色よい返事です。

行ってみると非常に小さい小道でした。撮影地点から向こうに見える車までがリトル・ジョージストリートです。

(5月7日追記)

現在はリトル・ジョージ街はロンドンではこちらにしかないのですが、当時はユーストン駅西側に同名の通りがありました。レストレード警部が探したのはユーストン駅周辺でしたので、こちらの通りではないと思われます。詳しくは「ユーストン駅(追記)」の記事をご覧ください。

8. New Scotland Yard, Derby Gate, SW1

FSLの記載:New Scotland Yard (now closed) opend in 1891 near Westminster Bridge. It figured prominently in many of Sherlock Holmes's cases. Here, in their Black Museum, they kept the air gun that Colonel Moran was going to use, to kill Holmes from The Empty House.

テムズ川近くに立つ赤レンガの建物が1891年に開かれたNew Scotland Yardです。今では議会関連の用途で使われているようです。ちなみに現在のスコットランドヤードはヴィクトリア街にあるそうです。

ちなみにBlack Museumというのも実在したそうです。(Wiki参照)ヤードと同じく引っ越しをして、今ではCrime Museumと呼ばれているそうです。残念ながら一般公開はされていないようです。(Crime Museumウェブサイト

9. Westminster Stairs (below Westminster Bridge), SW1

「四つの署名」

FSLの記載:In The Sign of Four, Holmes told Inspector Jones that he needed a fast police steam launch at the Westminster Stairs at seven o'clock. As it turned out, it was just fast enough.

延原訳登場シーン:「よろしい。ではまず第一に、速力の出る警察船――汽艇を七時までにウエストミンスターの岸壁へまわしてもらいましょう」
「おやすいことです。あのへんにはいつでも一艘くらいはいるはずですが、でも念のため、あとで電話をかけておきましょう」

Westminster橋のたもとにある桟橋で、現在でも船着き場になっています。橋を挟んで反対側にも階段状の船着き場みたいなところがあり、Stairsというとこっちなのかと思いましたが、Vineyの写真集(下で紹介しています)で確認したところ、やはり上の写真がWestminster Stairsのようです。

10. Whitehall, SW1

「海軍条約文書事件」

FSLの記載:In The Naval Treaty, Percy Phelps worked in the Foreign Office in Whitehall.

延原訳登場シーン:その夜はたいへん暗くて、温かい雨がぱらぱらと降っていました。チャールズ街には人影ひとつ見えませんでしたけれど、はるか向こうのホワイトホール街はいつものように賑わっていました。(中略)「立派な人物だね」ホワイトホールの通りへ出るとホームズがいった。

「ギリシア語通訳」

FSLの記載:In The Greek Interpreter, we learn that Holmes's older brother, Mycroft, worked in the government office in Whitehall.

延原訳登場シーン:兄は数字にたいする特殊な才能があるので、政府のある省の会計簿の検査をひき受けている。家はペルメル街にあるが、毎朝角をまがってホワイト・ホール街へ歩いてゆき、夕方また歩いて帰る。一年を通じてこのほかには決して運動ということをしない。

「ブルースパーティントン設計書」

FSLには出てきませんが、「ブルースパーティントン設計書」でもマイクロフトの職場がホワイトホールの役所であることが出てきます。

延原訳登場シーン:マイクロフトにはちゃんと軌道があって、それからはずれたことがない。ペルメルの家からディオゲネス・クラブ、それからホワイトホールの役所、これを循環するだけなんだ。

「空き家の冒険」

FSLの記載:In The Empty House, Holmes communicated to the Foreign Office in Whitehall, details of his visit to the Khalifa of Khartoum.

延原訳登場シーン:それから僕はペルシャを通過して、メッカをちょっとのぞき、エジプトのハルツームで回教王をも訪問したものだが、それらのことは外務省のほうへ報告を出しておいた。

「マザリンの宝石」

またこちらもFSLでは言及されていませんが、マザリンの宝石が当初保管されていたのもホワイトホールだったようです。

延原訳登場シーン:「あなたをホワイトホールまで送っていった馬車の御者も、そこから帰った時の御者もわかっているのです。そのとき陳列ケースのそばであなたを見かけたという守 衛までわかっています。

ホワイトホールが途中からパーラメントストリートになっています。

こちらが通りの様子です。まっすぐ行くとトラファルガー広場に出ます。


  これまで紹介してきた「ホームズゆかりの地」については、ホームページ「The World of Holmes」(管理人:みっちょんさん)の、「地下鉄駅を中心にしたホームズゆかりの地案内」のコンテンツで、リストにしてくださっています。みっちょんさんありがとうございます。 

同じくみっちょんさんのホームページのコンテンツである「シャーロッキアンの果てしなき冒険」「第6章ロンドンという舞台」の「官庁街ホワイト・ホール」でも同じ地域が紹介されていますので、是非合わせてご参照ください。いつも参考にさせてもらっております。


現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)

Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London

Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London

  • 作者: Thomas Bruce Wheeler
  • 出版社/メーカー: Iuniverse Inc
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: ペーパーバック
 
延原謙氏の訳はこちらからの引用です。

新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集

新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集

  • 出版社/メーカー: インターチャネル・ホロン
  • 発売日: 1998/02/06
  • メディア: ソフトウェア

 

 

その他に参考にしている本はこちら。

Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories

Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories

  • 作者: Charles Viney
  • 出版社/メーカー: Smithmark Pub
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: ハードカバー

この本は日本語訳も出ているそうです。

 

シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界

シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界

  • 作者: チャールズ ヴァイニー
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1997/03
  • メディア: 文庫


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